鶴の恩返し

主にあおいひと

『Lilas』から受け取ったもの

 雨宮天さん2ndアルバム『The Only BLUE』が先日発売されました。

 

1stアルバムを経て、挑戦色の強い既発シングル3枚を中心に新曲6曲を含めた全12曲入りということですが、どれも個性的で違う毛色をもった素敵な曲揃い。

新曲群は特に歌い方を分け、それぞれの曲の主人公を"演じる"ことを通じてこのアルバムの『女優』というテーマを顕著に感じさせてくれます。

その中でも特に心を奪われた『Lilas』(リラ)について、歌詞から思ったことを中心に書こうと思います。自分の考えの整理のようなものなので適当に読み流していただければ幸いです。

 

 

以下歌詞

 

変わり続けてく毎日の中でひとつ

変わることのない風景がそこにはあるよ

あれもこれも全部抱えて1人で悩んでる君が

「ただいま」をいう場所がそこにはあるから

 

Live your life.

Live your life.

そのままでいいんだから

ただ声を聞かせてよ

Live your life.

Live your life.

それぞれのキモチ持ち寄って

 

またいつかここで 一緒に笑おう

”お揃いの幸せ"を分かち合って

遠く離れても 一緒に歌おう

この空はどこまでも 続いてるから

 

変わり続けてく街並みの中でひとつ

まぶたの裏にいつも浮かぶ場所があるでしょ?

毎日頑張りすぎている 君の背中に

「おかえりなさい」と言う場所が

"ここ"にはあるでしょ?

 

Live your life.

Live your life.

そのままでいいんだから

ただそばにいさせてよ

Live your life.

Live your life.

それぞれのキモチ抱きしめて

 

またいつかここで 一緒に笑おう

”不揃いな幸せ”も認め合って

遠く離れても 一緒に歌おう

この空はどこまでも 続いてるから

 

Live your life.

Live your life.

Live your life.

大切なキモチ抱きしめて

 

またいつかここで 一緒に笑おう

”お揃いの幸せ”を分かち合って

遠く離れても 一緒に歌おう

この空はどこまでも 続いてるから

 

となっています。

 

おおまかな印象として天ちゃんのソロ曲らしさはないなとまず初めに聴いた時には感じました。作詞をされているのは『Abyss』『irodori』と同じく塩野海さんですが、こういう詞も書くんだなと素直に驚きました。

しかし天ちゃんが言っているように、どこか共通した憂い、ただ単に明るいだけの曲ではない独特な雰囲気を持っていて聴き込んでいくごとにどんどんとこの曲に惹かれていきました。

 

惹かれた1番の理由として、"成長した今の天ちゃんにガッチリとはまっている"ように感じたからです。

端的にいうと今の本人の心境、そしてファンの心境を図らずとも汲み取っていると。

作詞・作曲を担当されている塩野さんはLilasの詞のテーマは『』であるとおっしゃっています。これはキモチの向かう方向であり、互いに互いを信頼し合い想っている、それぞれのキモチに答えている天ちゃんとファンの関係性の事だと僕は思います。

 

特に気になった部分として、

 

あれもこれも全部抱えて1人で悩んでる君が

「ただいま」をいう場所がそこにはあるから

 

毎日頑張りすぎている 君の背中に

「おかえりなさい」と言う場所が

"ここ"にはあるでしょ?

 

 様々な点で今はファンと良い関係を築けている天ちゃんですが、昔は全然今ほどではなかったと思います。

彼女は昔の自分自身のことを「臆病・小心者、ネガティブな弱い人間」であると評しています。度々言うように彼女が根から人間関係があまり得意ではなかった、というか他人に興味がなかったのだろうというのもありますが、そこから生まれる他者に対する疑心を捨て去る事はできず、ファンに対してもどこか信頼しきることができていないキモチがあったのでしょう。

 

しかしそこで、アーティストとしての"挑戦"の皮切りとなる『irodori』が登場します。

彼女は一度大好きな青を置き、全身を赤く染めました。

その後も、自身の好きな歌謡曲を披露したリサイタルや2ndライブ、irodoriに加えニューシングル2枚をリリースなど多くの挑戦をしてきました。その分驚きの連続であったかとおもいます。

しかし、彼女の理想を追い求める挑戦にファンが応えないわけがないのです。

僕も一ファンとして、理想に向かって彼女がやりたいことをやってくれるのが一番嬉しいですし、それを受け取れることがなにより幸せな事だと思います。

 

彼女はよく「新しい挑戦には必ず不安が伴います。本当に大丈夫かな、とか。喜んでもらえるかな、とか。でもそれを快く受け入れてくれるファンのみなさんがいるから、その壁も乗り越えられ、自分の力に変えていけます。」と話してくれます。

 

歌詞のほうに戻ると、そうして築いていった彼女とファンとの信頼関係があるからこそ互いの空間が一つの"居場所"であり、不安や悩みを抱えていても信頼するファンが居れば「ただいま」と彼女は安心して言うことができますし、こちらも「おかえりなさい」と言えるのだと思います。

 

そして

 

またいつかここで 一緒に笑おう

”お揃いの幸せ"を分かち合って

 

またいつかここで 一緒に笑おう

”不揃いな幸せ”も認め合って

 

ここフレーズがこの曲の肝です。

同じ刻や空間を生きる人と同じ幸せを分かち合い、それぞれが持つ幸せも否定をせず認め合うのです。自分を臆病で小心者と評し、彼女がさまざまな心情の変化を経て「一緒に笑おう」と謳うのです。天ちゃん自身もこのLilasという曲を歌いたい、届けたいと想っていてくれて、彼女からこのような言葉を聴けるということは、この上ない事だと思います。

 

  • 理想の在り方

 リリイベなどでもよくおっしゃっていますが、こうしたいという想いや理想を強く常に持ち続けプロデューサーや監督に対しても一歩も引かないような制作泣かせであり積極的に意見を伝えて作品をより良くしようと努めてくれています。

しかし、ただ自分のやりたいことだけの自己満足ではなく、受け取り手のこともよく考えていて、『求めるもの』と『求められるもの』の塩梅をしっかりと意識し選択出来ているところが素直に凄いと思います。

『Lilas』に関しても初めは、明るい曲はやっぱり耳に残り辛いし選ぶつもりは無かったけれど、ライブで歌ったら皆んなで楽しめるんじゃない?とスタッフさんに言われたのもありどんどん好きになって行った、とおっしゃっています。

その後も自分の曲になるように落とし込み、歌い方など工夫を重ねていることも本当に素敵だなと思いますし、彼女の理想はただ自分を貫き通すだけではなくファンにも寄り添ったものなんだと感じられます。

 

ざっくり自分の考えはこんなところです

ここでは一括りにファンと称しましたが、もちろん捉え方もそれぞれですし受け取り方も違うかと思います。むしろそれが彼女のさらなる成長に繋がっていくと思います。

歌詞から感じた事を中心に書きましたが、軽音のようなさわやかで青春を感じさせるロックサウンドがとても素敵で、こうしたセンチになる曲は何度も繰り返しは聴かないのですが、Lilasはいつまでも聴いていたいと思えます。ついアコギを抱える天ちゃんを想像してしまいます。

 ツアーで聴くのががとっっても楽しみです。

 

 

おわり

 

 

 

 

 

余談

リラ - Lilas=ライラックのことでリラはフランス語由来。サンクリット語で"暗青色"を意味する「ニラ(nila)」がその語源。ライラック花言葉は「思い出」「友情」「謙虚」「青春の喜び」「無邪気」など。メロディに関して意識している部分はありそうですね。